【Pocket Monsters Dark gray】完結
日時: 2013/09/01 03:44
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

ただの気まぐれですが小説を書いてみようと思います
クオリティにはあまり期待しないでください
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お知らせ
【裏話:緑茶の茶番】

お絵かき(練習)投稿したもの
【メタグロス】【ベトベトン】【エルフーン】
【ジヘッド】 【ハッサム】 【ハガネール】
【ゴチルゼル】【ミュウツー】【トルネロス】
【イワーク】 【ボルトロス】【サーナイト】
【エネコロロ】【メガクチート】【バケッチャ】

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番外編 若草の龍>>198-203
メンテ
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Re: 【Pocket Monsters Dark gray】キャラ投票 開催 ( No.179 )
日時: 2014/10/25 23:28:10
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

133話 終章
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その無慈悲な光景は避けようのない結果だったのかもしれない
少女の培ってきた実力はあくまでもポケモンバトルのためのものであり
対して男は敵対する者を尽く沈黙させる手段として戦闘をしているのだから

先に倒れた3体もカナンのポケモンに的確にダメージを与えていた
ミミロップはキリキザンの鋭い刃によって足に無数の切り傷を負っていた
ドレディアはガマゲロゲの毒を浴びたせいで動きが極端に鈍っている
一見平気そうにしているサーナイトもバッフロンの渾身の一撃を喰らっているため
少しでも気を抜くとそのまま倒れてしまいそうな状態だった

さらにその後にサザンドラ シビルドン デスカーンが続き
彼女たちはほとんど一方的に攻撃されていた

ゲーチスは勝ち誇ったような顔で息を切らしてうずくまっているカナンに近づいていく
「シンクロとは随分と不便な特性を持っているのですね
 いくら連携が取れていようが技の精度が高かろうがこうなってしまっては何の意味もありません
 弱点がむき出しなってしまうだけの劣悪な特性ではありませんか
 自分のポケモンと共にダメージを受けそうして倒れているアナタは無様で滑稽ですよ」

少女は男を見上げて睨んだ その眼は敗北し諦めた者の眼ではない
弱いと見下されようが力でねじ伏せられようが目の前の敵に立ち向かう そんな勇敢さを持つ者の眼だった
「黙りなさい…アタシのポケモンたちはまだ負けてない…
 あなたを倒すまで 倒れるわけにはいかないの…」

ゲーチスはその表情を見て優越感に浸ることをやめた
今の彼にとってその眼はひどく不快なものだったのだ
「おや まだそんなことを言う気力があったとは…呆れてしまいましたよ
 やたらとタフなことだけは認めてあげましょう だがそれだけです」

ゲーチスの合図を受けてサザンドラがミミロップの足をとらえ凶悪な牙で噛みついた
ミミロップと少女は同時に悲鳴をあげ 立ち上がろうとしていたカナンの身体は再び石の床に打ち付けられた

「せいぜいそこで這いつくばって、大事なポケモンが力尽きて倒れるまで
 仲良くのたうち回っていればいいのです いい加減認めたらどうです
 アナタはワタクシに負けたんですよ お嬢さん」

「サー…ナイト…!」
シビルドンは麻痺したサーナイトの身体を締め上げ
器用で多彩な技を使える彼女を文字通り完封してしまった
それはサーナイトという種族であるが故の急所…
彼女たちが強力なサイコパワーを使えるのは胸の紅色の器官があるおかげだ
だがそこは直接攻撃されることを避けなければならない部分でもある
シビルドンは赤い器官に噛みつき容赦なく電流を流し込んだ

(くうっ…すみませんマスター ここに噛みつかれたら もう…)

この状態ではサイコキネシスが使えない 一切の反撃も許されない
ましてや彼女の筋力でこの拘束から逃れることは到底不可能だった

しだいにカナンの表情は陰り 心は恐怖に押しつぶされそうになっていった
「まだ…まだ負けてない アタシはあなたなんかに…

恐怖を振り払おうとするその台詞の続きは彼女自身のうめき声にかき消された

戦いが始まったばかりの頃は素早く跳びまわり 三つ首の龍に蹴りを入れていたミミロップだったが
今は両足をサザンドラの二つの顎に咥えられ 逆さに吊るされた状態になっている
耳のノッキングもこれでは届かない
サザンドラはミミロップの太ももに噛みつき容赦なく炎を浴びせ続けた
(ゴメンね カナン…こいつを倒すところ見せたかったんだけど…
 こんな格好じゃ…何もできない…)
ミミロップは悔しさに身を震わせながら涙を流していた

その姿は嫌でも敗北と言う二文字を少女に突きつけた
…こんなの…嘘だ…敵わない…。

ドレディアはデスカーンに拘束され毒と呪いにより意識を失いかけていた
(悪いけど…私じゃこの棺桶に敵いそうもないわ でもね…アンタが勝手に諦めることは私が許さないから)

「ドレディア…そうだよね ありがとう
 ポケモンが戦ってるのにトレーナーのアタシが諦めてどうするの…」

絶望に染まりかけていた少女はふらつきながらも立ち上がる
「…そうですか 二度とワタクシに歯向かえなくなるほどの敗北…それだけでは足りないようですね
 いいでしょう サザンドラ やりなさい」

サザンドラは力尽きたミミロップを塔の外に放り投げ
三つの口からカナンに向けてどす黒い衝撃波を放った
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】キャラ投票本日締切 ( No.180 )
日時: 2014/10/26 15:59:46
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

134話 終章
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サザンドラの放った悪の波動は塔の屋上を抉るほどの威力だった
ガードでは到底防ぐことなどできない火力
人間がそれをまともに喰らって無事で済むはずがない
だが夜風に流されていく砂煙の中には静かに佇む少女の姿があった

ゲーチスには目の前の光景が信じられなかった
「馬鹿な…なぜ立っていられるのです…」

カナンは暖かな白い光に包まれていた
それは真似ごとにすぎないガードではなく
正真正銘 ポケモンだけが使えるはずの相手の技を相殺することに特化した守るだった

「成程 それもシンクロの力ですか…
 しかし所詮は非力なトレーナーとポケモンが支え合うだけの特性
 痛みまで共有して不格好にうずくまっているのがお似合いですよ こんな風に」

電気を溜め込んだシビルドンの牙からサーナイトの胸元に電流が走る
執拗に繰り返される攻撃にサーナイトは意識を失いそうになっていた
それでもカナンは膝をつかない
「一々人を見下すのねあなたは まるで劣等感の塊…
 あなたに弱点と言われようが 不格好と笑われようが
 これはアタシにとっての大切な力…大切な仲間と一緒に戦う力なの」

「…どうやら…私とあなたとでは違いすぎるようですね
 私にとってはもはや他者とは有益か無益か 無害か有害かでしかないというのに」

ゲーチスは目の前の少女を
長い豊かな茶髪を風になびかせ迷いのない勇敢な眼をしている少女をどこか羨ましいと感じていた
それは自分とはあまりにも異なる美しさを持つものへの羨望なのかもしれない

「だからこそ 仲間とともに戦うと言ってのけるアナタは不思議で面白い
 …敢えて今問いましょう アナタにとって仲間とは何なのです」

「…悪いけど問答に付き合ってる…余裕はないの」
息を切らし顔から汗を滴らせながらカナンは問いかけには答えなかった

「そうですか そうでしょうね では終わりにしましょう
 大切なお仲間と共に為す術もなく仲良く痛みに悲鳴を上げて散りなさい」

男がとどめを刺そうとしたとき
サーナイトに絡みついていたシビルドンは吹き飛ばされた
それは彼女にできる唯一の捨て身の反撃…
器官へのダメージが大きすぎてサイコパワーを練り上げて放つことはできない
反撃のためにサーナイトと少女が選んだ手段はいわゆる自爆だった
全身を巡る力を強引に体内を突き破るほどに暴走させ 衝撃波はシビルドンを貫いた

それとほとんど同時に疲弊しきっていたはずのドレディアは
自分を拘束しているデスカーンに向けて零距離でリーフストームを放った
緑の刃が荒れ狂うように舞いデスカーンをあらゆる方向から斬り裂いていく

彼女のポケモンは最大限に発揮されたシンクロの効力で遥かに強化されていた
だがゲーチスは怯まない 真の標的は目の前の少女ただ一人

「…それぐらい計算済みですとも! 二匹の攻撃に集中してしまったアナタには
 最早ワタクシのサザンドラの攻撃を防ぐことはできない
 さあ悪の波動に貫かれ 絶望を…」

「ミミロップ!」

少女の声とほぼ同時にミミロップの身体は空中で華麗な曲線を描き
黒い龍は死角からの跳び蹴りを喰らって墜落し意識を失った

満身創痍の状態で塔の真下の湖に投げ込まれても自力で戻ってこられたのは
彼女に備わっている優秀な脚力のおかげだ

「みんな 無茶させてゴメンね 勝ったよ…。」
力の限りを出し尽くしカナンのポケモンたちはその場に崩れ落ちるように倒れた

「…どういうことだ…ワタクシの目論見が こんなところで…」
カナンに敗北したゲーチスは少女の後ろの様子を見て
この計画が失敗に終わったことを理解した
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】キャラ投票本日締切 ( No.181 )
日時: 2014/10/26 21:00:23
名前: しゅん◆2SGt3iDgt3g ID:k7XwElzw

やるって言って忘れてた。ギリギリセーフ
グレイのブラッキーとカミツレさんでおなしゃす。
メンテ
Re: 〜結果発表〜 ( No.182 )
日時: 2014/10/27 00:50:30
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

>>しゅんさん 投票ありがとうございます
さて 1ヶ月経ったので結果発表をします


1位 (3票)
ブラッキー
オリビア

2位 (1票)
カミツレ
シャンデラ
オーキド
赤い帽子の少年

ブラッキーとオリビアの同率1位でした
投票してくださったみなさん 改めてありがとうございました
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.183 )
日時: 2014/10/28 10:06:38
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

135話 終章
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両者がいずれ衝突することは上辺だけの協力を始める前からわかっていたはずだった
必要とするものは同じでも求めているものがまるで違うのだから
それでも両者は互いに利用し利用され続け 
最終局面ともいえるこのリュウラセンの塔でその関係は崩れ去った
「博士…ここまでで結構です」
Nは灰色の王に背を向けてオーキドに言った

「どういう意味だね それは」
オーキドは無駄も隙も無い動作でモンスターボールを取り出した
「あなたたちは世界を変える手段を教えてくれた
 しかしその目的はポケモンの解放ではないはずだ
 あなたのやろうとしていることは研究…このイッシュ地方すべてを実験材料にした
 許されてはならない研究だ ボクはそれを止めなければならない」

「その通り 私の目的は研究…それも私の長年の疑問を解消できるかもしれない研究だ
 そういうわけで君に邪魔されては困るのだよ」
オーキドは淡々と言葉を続け 何の容赦もなく攻撃を仕掛けた

『…!避けろN!』
攻撃を察知したゾロアークがNを突き飛ばす
次の瞬間Nを守るように囲んでいたポケモンたちは無数の白い光に貫かれた
ギギギアルの鋼鉄の体が高熱で赤黒く光りながら溶けていく
ギガイアスの頑丈な皮膚にも亀裂が走り
デンチュラは焼け焦げて倒れ
ゾロアークはNを守り腹に傷を負った
「ボクのトモダチを よくも…」
青年は憎しみのこもった目でオーキドを睨んだ
白衣の男の傍らにはホログラムのように浮かび上がり歪な動きをして飛びまわる
奇妙なポケモンがいた

「ポリゴンZの技が放たれる前に主人を庇うとは優秀なゾロアークだ
 安心したまえ 君の命を奪うつもりはない 君の持つ王族の力とやらにも興味があるのでね」

アンノーンがNを囲もうとして群がったが青年に近づいた途端
隊列は崩れ 散り散りになってしまった

「成程イリュージョンの範囲ではアンノーンの術式は正常に使えないか
 ならば仕方ない ひとまず大人しく…」

(そこまでだ 狂人め)
ブラッキーは熱線を放とうとしているポリゴンZを死角から
しなやかな動きで吹き飛ばした

そこにはアンノーンの壁を越えたグレイとポケモンたちの姿があった

「壁を強引に突破したか だが少年 君が来たところでもう何もかもが遅いのだよ」

「お前は…いったい何なんだ…灰色の王を利用して何をしようとしている 答えろ…」

月明かりの下で狂った博士は静かに冷たく微笑んでいた
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.184 )
日時: 2014/10/28 10:06:55
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

136話 終章
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オーキドは淡々とした口調で話を始めた
白みはじめた東の空を見つめ 冷たい風に吹かれながら
「君たちは この世界に何の違和感も抱かないのかね
 一切の矛盾なく移ろいゆくはずの風景がどこか歪んで見えたことは?」

「例えば私が現在見つかっているポケモンは151種類だと言ったら
 君たちは笑ってそれを否定するはずだ もっと多いと言うだろう
 だが私は覚えている かつてはそれが常識だった
 レアコイルが鋼タイプを持っていなかったことも
 私の孫が地震でマタドガスを倒して自慢してきたこともあった
 私の記憶にはいつのものかわからない奇妙で不可解なものが混在している
 まるでこの世界が都合よく書き換えられていく作り物のようだ…
 それともただ 私がおかしな夢を見ているだけなのか
 この世界はいったい何だ…
 それを確かめる術は限られている
 ポケモンを超える存在の力を借りなければならない」

少年には白衣の男が別の世界を彷徨ってきた者のように思えた
「じゃあこの一連の騒動は 今までの戦いの発端は…
 お前のその夢を終わらせるための…」

「覚めない夢から覚めるために私はこの地を選んだ
 世界の輪郭に手が届く存在 灰色の王はイッシュ地方を目覚めさせた竜であり
 三匹に分かれてこの時代まで生きて封印された状態にあることを知った 条件が綺麗に揃っていたのだよ
 プラズマ団の計画はポケモンを人の手から解放することが建前らしいがそんなことはどうでもいい」

「さあ灰色の王よ 私にこの世界の姿を見せてくれ」

無数のアンノーンが灰色の無機質な身体に群がり 破滅の文字を刻み付けていく
頭を垂れたまま動かなかった半透明の竜は数百数千のアンノーンの眼を借りて辺りを見渡した
書き込まれた命令は『イッシュ地方の再構築』
成功するかどうかよりも彼にとって重要なのはそれが実行されていく過程のほうだった

「そんなふざけた幻想に イッシュの皆を巻き込むなよ」
ブラッキーのバークアウトとシャンデラの激しい炎がアンノーンを強引に引きはがした

「…私の邪魔をするのなら 消えてもらおうか」

オーキドの言葉とともに ポリゴンZの破壊光線が少年に向かって放たれた
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.185 )
日時: 2014/10/30 22:32:07
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

137話 終章
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オーキドの使うポケモンはポリゴンZとアンノーンだけではなかった
電撃を放つポリゴン2と様々な姿のロトムが加わり
グレイたちは身を守ることに専念せざるを得ない状況になっていた
ただし防いでいられるのも時間の問題
ブラッキー メタモン シャンデラ クロバットの全ての力を足しても
ポリゴンZの破壊光線はそれらをいずれ貫通しまとめて吹き飛ばすだけの火力があるのだから
ブラッキーは守るで破壊光線を受け流しながら少年に言った
(…まだだ 主人の力はまだこんなものじゃないだろう)

(プラズマ団の城でバークアウトを全力で使ったときにわかったんだ
 主人の力は 特性の型破りはまだ強さを秘めていると…)
「ブラッキー…」

型破りという特性は 常識にとらわれない強さを発揮するためのものではない
その能力の本当の恐ろしさはあらゆるものを習得してしまうことにある
学んだ技を完璧に自分の物にしてしまうような
観察、理解、学習、適応、対応、習得、応用の全てに秀でた才能だ

「…なあブラッキー お前の守るはお手本にするには洗練されすぎてるんだよ
 こんな感じでいいのかな キュイイインってやってシュパンだっけ」
(…流石は主人だ…)
少年は夜明けの空のような紫色のガードに包まれていた

『すごいよグレイ 型破りの力を帯びたガードだ』
(心地良い…力が流れ込んでくる)
ブラッキーたちもガードと同じ紫の光に包まれた

「この局面でガードを覚えてしまうとは…ガードが使えるということは
 トレーナーが自身の力を放出する術を習得したということ
 だがもう遅い 間に合わない 貫かれて滅びろ」

ポリゴンZの破壊光線はついに防御壁を砕いてしまった
普通のトレーナーであればこの圧倒的な威力の光線に成す術もなくやられていただろう

(まったく とんでもないいりょくだよね。それじゃあこっちも
 はかいこうせん。)
ポリゴンZに変身したメタモンが破壊光線に破壊光線をぶつけた
相殺に留まらずオリジナルを上回ってしまうのがグレイのメタモンだ
メタモンの破壊光線はオーキドのポリゴンZを貫いた

灰色の王に貼り付いたアンノーンは数千匹のクロバットの攻撃を受け 次々に倒れていく
クロバットの使う影分身は高速移動による残像ではなくすべて実体である
(ククク…今の私は久々に血を吸って機嫌が良い 無数のアンノーンは無数の私が相手しよう)

黒い影が飛びまわっていたロトムとポリゴン2を捕え 白衣の男の両足を地面に縫い付けた
『あはははは…!今のボクからは誰も逃げられないよ』
紫色の光を帯びたシャンデラは楽しそうに笑っている

ブラッキーはロトムたちの電撃を物ともせず
月の光による耐久としっぺ返しで次々に倒していった

「…影踏みシャンデラ…そんなはずはない そんなシャンデラは存在しない!」
オーキドはアンノーンを寄せ集めて壁を作り 光線で迎え撃とうとした

『そうだね 多分こんなシャンデラはボク一人だけだ もらい火 炎の体 影踏み…』

いつの間にかシャンデラはオーキドの目の前に浮かんでいた
青い炎を激しく燃やしながら 変わらず嬉しそうな表情で

「馬鹿な あの壁を…どうやって…」
『普通にすり抜けてきただけだよ さようなら博士』

「ここから出せ…頼む…私をここから出してくれ…!」

リュウラセンの塔に爆発の音が鳴り響く
そこには全身に火傷を負って倒れているオーキドの姿があった
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.186 )
日時: 2014/11/02 21:54:58
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

138話 終章
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「カナン…あいつに勝ったんだな」

「なんとかね ロープで動けなくしておいたよ
 あとは…」

「この竜をどうしよう」

灰色の竜はリュウラセンの塔にもたれかかるようにして倒れていた
緑髪の青年は灰色の王を見上げ悲しそうに首を振った

「…N?」

「キミたちに気付かされた…
 ボクのやってきたことは こいつらと同じだ
 自分の正義だけが真の正義だと傲り 他の考えを認めずに理想を押し付けていた
 これでボクの夢は霧散する 当然の結果だ 今ならわかる
 あんな独りよがりな方法ではポケモンの幸せにはつながらない
 異なる考えを受け入れなければ 世界は変わらない それこそが
 始めから欠け落ちていた 最後まで組み込めなかった数式…」

ゲーチスは怒りに満ちた目でNを睨んだ
「…それでもワタクシと同じハルモニアの名を持つ者なのか
 不甲斐ない息子め もともとお前の理想などワタクシが支配者になるための
 ワタクシだけがポケモンを使える世界にするためのまがい物に過ぎない」

「父さん…あなたは間違っている
 上辺だけの綺麗な言葉で塗り固められたその野望はボクが打ち砕きたかった…」

「ワタクシは間違っている…だが今のイッシュはさらに間違っているのです
 確かにワタクシの言ってきたことなどすべて嘘 嘘の塊ですよ
 嘘を大声で時間を費やして語れば人は簡単にそれを信じてしまうのですから
 すべては最も優れたハルモニア王家が この地上を支配し 未来永劫栄えるために」

「…お前如きに打ち砕けるものかN
 この私の野望は 世界の完全なる支配者になること
 このイッシュの独裁者になり 王家直属の軍隊を作りましょう 
 かつて私を軽蔑の眼で見た者どもに地獄の戦火を味わわせましょう
 水平線を超えて国々を支配し 日の沈まない王国を…
 だがもう野望は潰えてしまった 
 民衆からポケモンを剥奪する機会を永久に近く失ってしまった…」

黒い野心をむき出しにして話す男を見て白衣の男は呆れたように笑っていた

「お前も私と同じだ くだらない幻想に取り憑かれた者の成れの果て
 狂った独裁者に狂った研究者か どうしようもない愚か者だ… 
 ここはどこだ 私はどこだと泣きわめいてきた
 まるでこの世は作り物…ポケモンを使ったゲームか
 あるいはそれを題材にした稚拙な二次創作に思えてしまう
 この物語はフィクションで 実在の人物 団体 事件などとはまったくの無関係で…
 私はこの世界から逃げ出したかった…
 終わりにしよう 最後に君たちに会わせたい人物がいる」

アンノーンが螺旋状の渦を描き 輝き始めた
渦の中心から一人の黒髪の少女が現れた

「アイちゃん…」

「…そっか 博士 負けたんだね
 久しぶり…じゃないけどこんにちは グレイおにいちゃんにカナンおねえちゃん」

「もう朝だね わたしの夢も覚めちゃったよ」

朝の冷たい風に少女の涙が散っていた
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.187 )
日時: 2014/11/03 16:26:18
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

139話 藍色の海
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わたしには母親も父親もいない
あの博士は自分から父親であることを否定してしまったから
だけどわたしには大切な家族がいる
この世界でたった一人だけの同じ場所で生まれたあの子が

………

ここはどこ わたしは誰…どうしてわたしはここにいるんだっけ
青い液体の中でわたしは目を覚ました 
わたしはいったい誰なんだろう
ガラスの向こうからわたしを呼ぶ声が聞こえてくる

「アイ… アイ…!
 もうアイが消えていくのを見たくないのに どうして…」

「わたしが消える…」

わたしは試験管の中で生まれ 培養液に浸かって育った
とある博士が独自に編み出した技術はポケモンの複製に成功した
だけど人間であるわたしの身体は長くは持たない
わたしは数か月後に培養液の中で死に
活動停止した身体はデータを取られたのちに処分される

いったい今まで何百のアイが生まれて死んでいったのだろう
そして今度はわたしの番 わたしがアイになれなかったら
また次のアイが作られるだけ

彼はただひたすらにアイを望み 何度失敗しようとも繰り返し続ける
その並々ならぬ熱意と執着を以って わたしという奇跡を繰り返す
失われた自分の娘に もう一度会えるその日まで わたしは生まれて 死んでいく

困った人だ 本当に
フジ博士 わたしはあなたの言うアイを知らないのに
わたしが知っているのは 培養液の中で急激な細胞分裂を繰り返すわたしと
わたしの脳を血眼になって分析し続ける博士たちと
隣の部屋で一人で不安そうにしているあの子だけ

わたしは何なのだろう 今度のわたしはこのガラスの外に出られるといいんだけど
わたしはこれを あと何回繰り返せばいいのかな

もうミュウツーを一人にさせたくないのに
あの子 わたしが消えそうになると とても悲しそうな声で泣くから
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.188 )
日時: 2014/11/04 11:58:09
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:xvjYjTgw

140話 藍色の海
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ポケモンの生態については未知の部分が多すぎる
近年の科学技術の発展によりようやく調べることができるようになった
研究すればするほど新たな発見が出てくる 時代はようやくその段階まできたのだ

人々はポケモンを知りたがった
新しいポケモンの発見は世間を騒がせ 珍しいポケモンの捕獲は大金を動かした

人々は熱狂的にポケモンを求めた…
そんな時代だからこそ我々の組織はここまで巨大になったのだ
ロケット団のボス サカキは青い液体に浮かぶポケモンたちを眺めていた

黒いリザードン 赤いギャラドス 水色のニドキング 緑色のスピアー
地球投げを覚えたラッキー ウェザーボールを覚えたフシギバナ 

カプセルの中では貴重なポケモンたちのコピーが順調に育っていた
サカキは満足そうに博士に言った

「素晴らしい やはりあなたの技術は最高だ フジ博士
 ついこの前までは技を引き継ぐことができなかったのに
 色違いの変異までは再現できなかったというのにそれらのコピーにもう辿り着いてしまった」

「私だけではここまでのことはできなかったよ 
 サカキさん あなたの資金援助のおかげだ 十分な研究費に加えて
 正規のルートでは手に入らない様々なデータまで」

「当然だ 協力は惜しまない あなたの研究にはそれだけの価値がある
 まだ誰も達していない領域に我々は足を踏み入れてしまった
 遺伝子情報から再構築されるポケモンたち…コピーの連続
 1匹、2匹、2匹が4匹、4匹8匹、8・2が16…32匹、
 あなたの技術はロケット団に無限の富をもたらしてくれるのだから
 このサカキがその貴重な存在に対して相応の対価を払わないはずがないだろう」

「ところで…あのポケモンは再現できたのか?」

地下室の培養液の入ったカプセルには
今まで誰も見たことのない姿のポケモンが浮かんでいた

「…これは驚いた…博士 あなたはミュウのまつ毛から得た情報で
 新しいポケモンを 新しい生き物を作り出してしまった
 ポケモンのクローン技術の応用がミュウツーを生み出した…」

「ミュウツーの持つ力は素晴らしい この特殊な遺伝子配列に何かあるはずなんだ
 ミュウの遺伝子の研究がアイの寿命に繋がるといいのだが」

サカキは知っていた この男の目的は事故で失った娘を取り戻すこと
家族を失う痛みは私も知っている だからこそ私は彼のやっていることが理解できない
その悲劇はどうしようもない過去の事実だ
もう一度会って謝りたいだと 知っているだろうに その子にはもう二度と会えない
博士は偽物を自らの手で作り上げようとしている
おそらくこの男なら 近いうちにアイを完成させてしまうのだろう

何度止めても無駄だった 娘のコピーを作ることが今のフジ博士のすべてだ
私が口をはさむようなことではないのかもしれない
ただ 私は心配でならない この男がカプセルから出てきた生きたアイを見たとき
どう思うのだろうかと

「人間のクローンを作ることには成功した
 細胞核の移植から着床までを安全に行うには少々改良が必要だがね
 ただその方法で生まれてくるのはただのクローンであって
 私の娘ではない アイと同じ遺伝子を持つだけの新生児にすぎない
 私はあの子を早くもとに戻してあげたいんだ…」
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.189 )
日時: 2014/11/07 19:42:48
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

〜確保のはずだった何か〜

博士が独自のクローン技術を確立させ人間のクローンを安定して
作れるようにできたとしよう
では彼の研究は 試みはそれで終わりなのだろうか
フジ博士は研究の末 娘のクローンを無事に作り上げましたとさ
で終わってしまうのだろうか

そこには一昔前のSFみたいに何百もの赤ん坊を培養液にプカプカ浮かべたりしてる
古いイメージとは違って 代理の母親が無事にアイと同じ遺伝子を持つ子供を産むことを
願う老人の姿が…

…かみ合わない
私のこれはいつも後付けだけど 二次創作するならここも考えておかないと

要するに彼が欲しいのはそれではない
彼の目的はアイにもう一度会うこと 元に戻してあげること

『アイ』という名前のクローン(ただ同じ遺伝子配列を持つだけの赤ん坊)や
人間として成功するかどうかわからない段階の培養液の中に浸かってる人体などは
ただの過程にすぎない

それゆえに彼はアイにならないとわかった失敗作などは
何のためらいもなく処分できる
失敗から学び 次のアイに活かす…

極端に前向きで 同時にそれは幻想を捨てきれない男の次への逃避でもある
倫理とやらを持ち出していかに彼に意見しようとも
彼はその言葉を受け止めた上で続けるだろう
開き直ったうえでそれでも目的のために進む人間に対して他者は無力だ
そして厄介なことにその熱意はきっちりと結果を生み出していく

フジ博士は多分そんな人です。

メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.190 )
日時: 2014/11/08 18:56:09
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

141話 藍色の海
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とある夏の日 とうとうフジ博士はアイを作り上げてしまった
ミュウツーの持つ特殊な生命力を手掛かりにして細胞が数年で劣化するという問題は克服できた
オリジナルの脳とコピーの脳の神経を繋ぐことで
培養液の中のアイは情報を共有し その人格はオリジナルに基づいて形成されている

フジ博士は目に涙を浮かべて娘の名を呼んだ
完成した少女の容姿は見分けがつかないほどあの日のアイと同じだった
玄関の前で振り向いて 行ってきますと言ったあの時の白いワンピース姿のままだった

「あぁ アイ やっと会えた 私の夢がようやく叶った
 あの日からお前をもとに戻してあげることだけを考えてきたんだ
 遅くなってしまってすまない これからはずっと父さんと一緒にいよう
 さあアイ、 昔みたいに父さんと呼んでおくれ」

「おと う さん…?」

アイはたどたどしい発音で喋った とても不思議な感じがした
自分に刷り込まれた記憶のような 知識のような何かが
目の前の男がわたしの父親だと言っているような

だが次の瞬間 少女の目に映っていたのは
夢から覚め 絶望に心を貫かれて絶叫する男の姿だった

「違う…違う…! これはアイじゃない 私を父さんなどと呼ぶな
 お前は誰だ 私はなんということをしてしまったんだ!
 嘘だ… いったい私が今までやってきたことは…」

フジ博士は完成したアイから逃げ出すように部屋から出て行ってしまった

「わたしは アイじゃない… それならわたしは誰なの…?」
アイは鏡に映った自分の顔と 博士の机の上にある写真に写っている少女の顔が
同じだということに気付いた 顔だけではない 髪も手も足も 纏う雰囲気もすべて同じ

自分が誰なのかわからなくなってしまった
自分の身体も 記憶も 人格も アイという他者を模倣したもの
だけどわたしはアイじゃない

扉が軋む音を立ててゆっくりと開いた
そこには虚ろな目をしたフジ博士が片手に注射器を持って立っていた

「すまない 許してくれなどと言えるはずもない
 終わりにしよう アイはもうどこにもいないんだ
 右手を出しなさい お前を処分しこの悪夢のような研究記録をすべて消した後 
 私もこの世を去るとしよう 最後まで私はひどく愚かで身勝手だった」

「……。」
右手に刺さった注射器の針は とてもとても痛かった

ガラスが割れる音 警報器のブザー音が辺りに響き そして爆発音とともに壁に穴が開いた
「ミュウツー…」

意識が薄れていく中で アイはたった一人の家族が怒り狂うのを見ていた
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.191 )
日時: 2014/11/09 11:46:13
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

142話 藍色の海
----------
ミュウツーは施設を破壊し続けた
藍色の雷を身に纏い 無数の波動弾を銃弾並みの速度で放っていく

壊れろ…消えて無くなれ
これが人間か これが人間の作ったクローン共か
勝手な都合でコピーの生命を作り 培養液につけて成長させる
失った娘を取り戻そうと何度も何度もアイを死なせた
挙句の果てには自ら否定してしまった

私は人間を嫌悪する
この研究所もここにいるクローンも人間も そして私自身も
すべて壊してしまおう この愚かな夢を私が終わらせてやろう

辺り一面は青い炎に包まれ 合金製の頑丈な壁はうねりながら破裂していった
施設内に危険でない場所などなかった 
ただ一か所 ミュウツーの力で守られた少女の周りを除いては

「…ミュウツー 天井が崩れるよ 
 はやくここから出なきゃ…」

ミュウツーは目を覚ましたアイのほうに振り向いて言った

『…アイ… 私はここで消えなければならない
 この世界は私のいていい場所ではないから
 だがお前は生きてくれ 
 お前はもうアイのコピーでもなければアイツーでもない
 …テレポートで近くの湖に転送する 夕方になれば近くを船が通るだろう』

「…待って そんなのダメだよ ミュウツーも生きるの
 消えたりしないで…」

『すまない ここでお別れだ』

眩しい光が少女を包みこんでいく

次の瞬間 崩れていく研究室にはミュウツーだけが残されていた

メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.192 )
日時: 2014/11/09 11:46:29
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

143話 終章
----------
「湖に飛ばされたあとは研究所の方に走ったよ
 ミュウツーが自分を壊してしまうのを止めたかったから
 研究所に辿り着いたわたしは サカキのおじさんに会ったの
 ちょうど結晶に包まれたミュウツーを部下に運ばせて
 ヘリに乗せようとしてるところだった」

「ミュウツーはミュウの能力を受け継いでるから生命力が強すぎて
 いくら傷つけても自己修復しちゃうみたいなの だからあの子は殻に閉じこもった
 どんな衝撃を受けても壊れない氷みたいな結晶の中で今も眠ってるの
 わたしの昔話はこれでお終い。」

グレイとカナンはその話を静かに聞いていた
アイの言葉の節々に隠されていたことを今になって知ることができた

「…それじゃ あなたの目的は…」

「ミュウツーの氷を溶かすこと 目覚めさせないほうがいいのかもしれない
 迷惑かもしれないけど それでもあの子に生きてほしい
 お別れの言葉すらろくに言えなかったの このまま何もできないのは嫌だよ…」

「…イッシュに雪解けをもたらしたとされる灰色の王の力なら
 それができるかもしれないと思ってた
 力を無理に引き出すと犠牲が出ることを知っていたのに
 でも…無理なんでしょ博士」

アイは暖かそうな白いコートを風になびかせながら
火傷を負って倒れているオーキド博士の方に歩いて行った

「あぁ…残念だが無理だ この竜は不完全…
 割れた陶器の破片を遺伝子の楔のまがい物で繋ぎあわせたようなものだ
 ただし本来の力が引き出せたとしても
 あの氷は溶かせないだろう あのミュウツーの作った氷は世界を拒絶し
 自身を否定し封印する意志の結晶体だ
 そしてこの竜が持つ力は目的のために使えるような代物ではなかった
 現実と幻想を綯い交ぜにする混沌の能力だ
 結晶体もろともにミュウツーの意志も存在も消してしまうことになる」

「ポリゴンのアナライズでようやく判明した事実だ
 ベースになるキュレムの封印を解くためには強い意志が邪魔になるという時点で
 悪い予感はしていたのだが…」

アイは何も言わずにその場にしゃがみこんだ
その横には半透明の巨大な竜の頭があった
灰色の王はアンノーンを引きはがされてから何もしていない
膨大な力を抱えたまま無気力に眠ったように塔を枕にしてじっとしている

その時 不思議な音色が聞こえてきた
朝の陽射しに混じって空に透き通る 唄のような鳴き声のような…

「…唄…? あの時聞こえてきた唄だ」
少年は周りを見渡すが声の主は見つけられない

「…ずっと見守ってくれてたのはわかってた 近くにいたことも
 だけどどうやっても見つけられなくて
 今回ばかりは計画を止められるんじゃないかと思ってたけど
 それでもいつも通り干渉してくることはなくて
 …ミュウの唄だよ これは」

アイは起き上がって東の空を指さした
そこには淡い光に包まれたミュウがいた
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.193 )
日時: 2014/11/16 19:21:53
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

144話 終章
----------
ミュウは傍観者でいるはずだった
しかしそういうわけにもいかなくなった
不完全とはいえ太古の灰色の竜がここにいることは許されない
それは放っておけば世界の秩序に干渉し
ミュウたちが紡いできたものを混沌に沈めてしまう存在だ

陽の光に照らされて空を泳ぐようにしているミュウを前に
その場にいた一同は言葉を失っていた

淡い桜色の肌に長い尾 その姿はいつか神話で聞いた通りだった
世界とともに生まれ世界を見守る存在 ただし与える影響が大きすぎるため
こちら側に干渉してくることはほとんどないらしい

ミュウがこの場にいるだけですでにバランスが崩れ始めている
あまり長くとどまることはできないがこれから目を背けるわけにはいかない

ミュウが弧を描くように尻尾を振ると
リュウラセンの塔のうえに氷の結晶が現れた

「ミュウ…ミュウツーをどうするの…?」

とある時代のミュウの失態だ
完全に身体を滅することができず 体毛を残してしまった
後にミュウツーを生み出し苦しめてしまうことになるとは知らずに

ミュウは頑丈な結晶体のなかに溶け込むように入り
眠ったままのミュウツーと額を合わせた

お前が消えたいと望むならそうしよう
ミュウの能力を本来の場所に戻したあとで
その命を死の側へ送りとどける
ただお前がもし 違う結末を望むのならミュウは…

ミュウツーはミュウの問いに答えた
研究所を破壊したあの日なら消えてしまいたいと答えていただろう
だが今は違う 自分がそれを選ぶと大切な人を悲しませてしまうことを知ってしまったから

…承知した それがお前の望みなら力になろう
ミュウは宙に光り輝く球体を出現させた
水晶球のようなものには澄んだ小川と美しい花畑が映っていた

人間のいないポケモンだけが住む地方のとある場所だ
ミュウはここをポケモンの村と呼んでいる
中に住まうものが拒む限り永遠に侵入されることのない土地
ここはそういった掟に守られている

ミュウの暖かい光がミュウツーの氷を溶かし始め
辺りは柔らかい霧に覆われた
霧の中央には涙を流して抱きしめ合う少女とミュウツーの姿があった
「やっと会えた…」
『アイ…すまない ずっと辛い思いをさせてしまった』

「遅いよ すごく心配してたんだから
 …ポケモンの村 きれいなところだね
 だけど無人の地方か… わたしも行きたかったんだけどな」

『…。』

「ほらそんな顔しないの 行くって決めたんでしょ
 わたしもミュウツーに生きてほしいから止めたりはしないよ」

「今度はお別れが言えるねミュウツー …元気でね …さようなら」

『あぁ …さようならアイ』

ミュウツーは水晶球に溶け込むようにしてはるか遠くの地に旅立った
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.194 )
日時: 2014/11/18 17:27:08
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

145話 終章
----------
ミュウツーが送り届けられたのを見たのちにミュウはオーキドの目の前に移動した

お前にはもう少し特異な存在であることを自覚してほしいものだな
法則に従った人間であるはずなのにそれを逸脱してしまう力を持っているのだから
ミュウが干渉しなければおさまらない事態を引き起こさないよう
教えておいたほうがよさそうだ

ミュウは思念波を用いて博士の脳にある映像を流し込んだ
「何を言って…? 何だ これは 私は今 何を見ている…」

今見せたものが世界のイメージだ
この領域について無関心なものには
理解不能の毒にしかならないが
お前の病に対しては薬になるだろう
ただの裏付けだ お前の考えは大方合っているのだから

「ミュウ… 在り難い… ずっと不安でしかたがなかった
 私の考えは今のとは程遠い粗末なものだったよ
 お前が教えてくれたおかげだ ようやく安心できた…」

灰色 お前はどうする
ここで能力を振いイッシュを混沌に沈めるというなら
ミュウはミュウとしてお前を封じ込めなければならない
…眠っているのか

灰色の王は目を開けて楽しそうに答えた

起きているとも始まりの生命よ
人間の心はとても面白い こんなに面白いものがあったとは
今まで気づかなかった これが私の答えだ

竜は半透明の巨体をゆっくりと起き上がらせ
長い首を曲げて 自らの羽根を喰いちぎった

羽根は細かい肉片となり蒸気を出して消えていった
羽根があった場所には二匹の赤子のような竜が残され
そのまま身体を丸めて石に変化していった

姿は幼いが黒の竜と白の竜だ 無理に繋ぎあわせていたせいで
随分と疲弊している 石になって眠っていれば回復するだろう

次に竜は自らの腹に風穴を開けた

人間は面白い…境界が溶けあう混沌よりもずっと気に入った
私は虚空に還る どこでもない空の裏側で
飽きるまでイッシュを 人間を 見ているとしよう

残ったキュレムは風穴に吸い込まれるようにして姿を消した

ミュウの仕事はこれで終わりだ
これ以上ここにいるわけにもいかない
ミュウも再び 世界を見守る役目に戻るとしよう

ミュウは淡い光に包まれて姿を消した
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】 ( No.195 )
日時: 2014/11/18 19:26:47
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

最終話 ヒオウギシティ
----------
思い返してみると私と主人はイッシュ地方をほとんど一周していたんだな
オーキドとゲーチスとその他何人かは逮捕されたが
その日のうちに脱走されたというから情けない話だ
たしかオーキドの場合はアンノーンのワープで
ゲーチスの場合はダークトリニティの三人が助け出したんだったかな
カントーから来たオーキド アザミ アイたちはロケット団の所有する船で帰っていったようだ
船で何日かかるんだろう 他にカントーから来たロケット団がいたのかどうかは私は知らない
あれだけ強力な力を持っているんだから
人数を増やしたところで邪魔になるだけだったのかもしれない

プラズマ団は消え去り 誰もいなくなった城だけが残されることになった
その城も去年の大雨と地震による土砂崩れで半分くらい埋まってしまったという話だ
ゲーチスはNの存在もハルモニア教も 自分が独裁者になるための道具としてしか
見ていなかったらしい 今はどこでどうしているのかわからないが

Nも行方不明のままだ あいつには幻術の使えるゾロアークもついているから
探し出すのは不可能に近いだろう
利用されていたプラズマ団はどうなったんだろうな
そういえば名前は忘れたがオリーブ色の髪の少女の働きで
ハルモニア教の名が再び有名になったとか
正直 宗教についてはよくわからん

カナンはジムバッジを集め終えたのちに実家に帰ってポケモン用のスポーツジムを始めた
鍛え上げるほうの才能も相当なものだったみたいだ
主人には無理だな それをやるとジムに通うトレーナーのポケモンを
斜め上の予想外な方向に強化してしまいそうだ

おっと言い忘れていたが主人は…
『グレイはねー あの後バッジを揃えてこの町のジムリーダーになったんだよ』

(シャンデラ…私が言おうと思ってたのに!)

『だって暇なんだもん ボクにも台詞ちょうだいよ
 最近なんだか退屈だなあ ジムのバトルはボクたちが強すぎて手伝ってあげられないし』

(私はこの前相手の力量に合わせられるなら戦ってもいいと言われたぞ)

『その後手加減するって言ったのにチャオブーを8mくらい吹っ飛ばしてたような…』
(て…手加減はちゃんとしたぞ あの程度で飛ばされるほうがいけないんだ)

「おーい ブラッキー シャンデラ お昼食べないのか」
午前の仕事を終えたグレイが二匹を呼んだ
ヒオウギは小さな町だが新設されたジムへの挑戦者は多く少年は忙しい毎日をおくっている
かつてイッシュ全土を巻き込みかけた事件の真相が世間に明かされることはなかったものの
すべてを隠すことはできず 最後の戦いの一夜は後に竜螺旋の夜と呼ばれ
少年やジムリーダー達の戦いは後世まで語り継がれることになった

お終い。
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】完結 ( No.196 )
日時: 2014/11/18 23:06:37
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:UMAIQfr.

確保
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】完結 ( No.197 )
日時: 2014/11/28 15:31:49
名前: 文身◆EvxVhsuAU82 ID:sVHRZhJI

途中からしか読んでなかったので4日かけて(笑)最初から読ませていただきました!

少ちゃんとはまた違う感じの小説でおもしろかったですw
まあ他の人と違うのは当たり前なのかもしれませんが、多くの人がこの小説を支援する理由もわかる気がしました

緑茶さん、完結おめでとうございます!
そして、お疲れ様でした♪
メンテ
Re: 番外編 若草の龍 ( No.198 )
日時: 2015/02/13 21:16:21
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:u6Z34/vc

01
あの戦いが終わってからもう二週間になるというのにまるで実感が湧かない
私はまだリュウラセンの塔に行ってイッシュを変える戦いに参加しなければならない気がする
……

きっとこの傷のせいですね まだ痛みが引かない
熱いシャワーを浴びながらオリビアは鏡で自分の背中を見てみた
擦りむいた傷は首の下から腰のあたりまで続いている

今までたくさんケガをしてきたが ここまで広い範囲をやったのは初めてだった
ヘラクロスのインファイトを喰らい川に落ちそうになったガブリアスを咄嗟にかばったときの傷だ

タオルで髪を拭いているときに 少女は薬の瓶を戸棚のほうにしまっていたことを思い出した
「ガブリアス、棚の奥にある傷薬の瓶を取ってくれませんか」

ガブリアスは薬の瓶を持ちにくそうな手で器用につまんで扉のほうまで歩いて行った
(開けるぜオリビア 背中の傷はまだ痛むのか…)

「ありがとう だいぶ良くはなったんですけどね」

ガブリアスが引き戸を開けた先には

白いタオル、艶やかなオリーブ色の髪、湯気のたつ色白の肌…

(なっ…すまん さっき開けるって言っただろ)
ガブリアスは慌てて引き戸を閉めようとした
「着替え終わったとも言ってないです というか落ち着いてください」

「「あっ…」」
傷薬の入った瓶は龍の爪の間を滑り落ち 床に落ちて砕け散ってしまった

「ふふ…あまり悪ふざけするものじゃありませんね
 ガブリアスが顔を真っ赤にしてるのを見るのは面白いですけど」

オリビアはタオルで髪を拭きながら悪戯っぽく笑い ガブリアスはそれを見て軽くため息をついた
(…お前なあ…傷薬どうするんだよ)

「どうするって…そうですね 昔みたいに
 私が怪我をしたときは龍の血の力で傷を治してくれたじゃないですか
 …ガブリアスに進化してからは一度もしてくれませんよね…」

ガブリアスは首を横に振って言った
(ダメだ、ガブリアスの血では効き目が強すぎる
 傷は治るかもしれんがお前が血に酔ってしまうだろう そんな危ないことはできない)

「私は大丈夫ですよガブリアス 
 貴方と一緒に戦えるように 戦闘の中でポケモンの力への耐性を身に着けて来たのですから
 だから…」

(…わかった…苦しくなったら無理せずに言えよ)
ガブリアスが鋭い牙を使って自分の舌の先を少しだけ切ると
濃い赤色の血が滲みはじめた

少女は背中を上にして布団に寝そべった
オリビアの傷口からジュッという焼けるような音と共に湯気が立つ

…本当に久しぶりですね ガブリアスの熱い血が流れ込んでくるこの感覚は…

オリビアは昔のことを思い出しながら静かに目を閉じた
メンテ
Re: 番外編 若草の龍 ( No.199 )
日時: 2015/02/13 21:16:52
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:u6Z34/vc

02
オリビアの父親はとても親切な人だった
穏やかそうな丸顔で銀縁の眼鏡をかけていて大体いつもベージュのコートを着ていた
母親とはオリビアが幼いときに離婚してしまったらしく
一人娘のオリビアをとても大切にしていた

…オリビアはそんな父親がなぜか好きになれなかった

ある日の朝 裏庭のほうから話し声が聞こえてきた

…誰だろう 庭にお父さんの他にもう一人 お客さんかな

色の褪せた金髪に灰色の瞳、大きなスーツケースを持った
背の高い青年が彼女の父と話をしている

「いいんですよ これが俺の仕事なんですから
 それよりオリバーさん 商品に間違いがないか確認をお願いします」

青年はそう言ってモンスターボールと共にフカマルを手渡した

「素人の私が見てもわからんよ だがヒイラギ君の仕事はいつだって完璧だからね
 オリビアもきっと喜んでくれるだろう 素敵な誕生日プレゼントを用意してくれてありがとう
 このフカマルがあの子の初めてのポケモンになるんだ」

オリビアは父とヒイラギという男のやり取りを木の後ろに隠れて見ていた
父は男に大金の入った包みを渡し、小さなフカマルは父の腕の中で不安そうに震えていた

…この前お父さんに私がポケモントレーナーに憧れてるなんて話をしたから…
あのフカマルの赤ちゃんは お父さんが 私の誕生日プレゼントに 注文したんだ

「おや、娘さんに見つかっちゃいましたね オリバーさん」
ヒイラギはしばらく前から少女に気付いていたようだった

見つかってしまっては仕方がないのでオリビアは二人の前に歩いていった
「…お父さん…その人は… その子をわたしに…?」

オリバーはオリビアに商人であるヒイラギのことを紹介し
本当は明日の誕生日の朝にフカマルをプレゼントして驚かせてやろうと思っていたのにと笑った

「…この子 まだ赤ちゃんだよね
 …私がポケモンが欲しいなんて言わなかったらこの子は…」
小さな腕の中にフカマルを抱えて 少女はその一言をつぶやいた

娘の心境に気付いていないのか、オリバーは生まれたばかりのドラゴンの
強さと美しさについて語り…

ヒイラギの顔からは先ほどまでの笑みが消えていた

メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】完結 ( No.200 )
日時: 2015/02/28 11:32:42
名前: 99 ID:FhmZ8DMY

お宅のチームリーダーが単発板にて他者をからかう文言や草生やし行為をしていて非常に迷惑です。

http://koro-pokemon.com/bbs/trade2/read.cgi?mode=view&no=52248&p=all

http://koro-pokemon.com/bbs/trade2/read.cgi?mode=view&no=52234&p=all

同じチームの一員としてあなたは彼の迷惑行為を止めさせる責任があります。一刻も早く止めさせてください。

あえて上げます。
メンテ
Re: 番外編 若草の龍 ( No.201 )
日時: 2015/03/26 18:25:30
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:JASQkrsg

03
オリビアは生まれて初めて父に対して怒りをぶつけた
ポケモンの生命を その生き方を勝手な都合で振り回し
商品として注文…ポケモンをオーダーメイドすることが当たり前の世界に
ある種の吐き気を覚えた

そうだ…お父さんはこれまでに何度も珍しいポケモンを購入し
遠い異国の地にしか生息しないポケモンや色違いの美しいポケモンなどを
コレクションとして集めてきたのに どうして私は何も言わずに見てきたんだろう…

オリバーはフカマルを抱きかかえ涙を浮かべて怒っている娘にひどく驚いていた
「オリビア、私はただ…お前が喜んでくれるだろうと思って…」

「ヒイラギさん…あなたも もうお父さんにポケモンを売ったりしないでください
 注文に合わせてポケモンの赤ちゃんを用意してきて売るなんて ひどいです…
 私の言ってること 何か間違ってますか」

オリビアが見上げるようにして青年を睨むと ヒイラギは静かに笑ってスーツケースに腰かけた
「いや間違ってないよ 俺は君の言ってることはすごく正しいと思う
 …だけど俺はこの商売を続けるよ 君が何を言おうが 俺は何も変わらない」

うろたえている父とは違って 落ち着き払っている灰色の眼が少し不気味に思えた
「どうして…」

「オリビアちゃんが俺のお客さんじゃないから。
 お客さんの希望にはできるだけ応えられるよう努力するけどさ
 俺はただの商人だ 正しいとか間違ってるとかじゃない
 俺の商品を必要としてくれる人がいる限り何だって売ってやるさ」

「商品、ですか…ポケモンのことを大切にしない人なんて大嫌いです」

「大切にしてるよ お客さんに渡す子も含めて俺のポケモンはみんな大切で
 愛していて 仕事のパートナーであり、大事な商品だ」
一羽のペラップがボールから出てきて青年の肩の上で誇らしげに鳴いた

「君みたいに優しくて ポケモンをこんな風に利用するのは許せないという意見はきっと正しいのだろう
 だけど俺みたいに 何を言われようとその意見を聞いたうえで何も変わらない奴もいるんだよ
 もし本当に今の人とポケモンの関わりをどうにかして変えたいのなら
 正論だけ言って終わりにしないことだ」

ヒイラギは再び静かに笑って立ち上がり オリビアたちのもとを去っていった

メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】完結 ( No.202 )
日時: 2015/03/29 20:29:43
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:JASQkrsg

04
オリビアは誕生日の前日に出会ったフカマルを大切に育てた
勝手な都合でプレゼントとして生まれてしまったこの子を
自分が一人前のドラゴンとして生きられるようにしなければならない…
父親にはフカマルへの食事はもちろん 触れることも許さなかった

もともと気の合わなかった父と娘の仲は日に日に悪化していき
数か月もしないうちにオリビアは家を出た

……

あの時 行くあてもないのに私とガブリアス…フカマルは家出したんです
父が悪い人じゃないのはわかってたけど それでも…
父は優しい人でした 自分の大事にしている人やポケモンに対しては特に
自分のこと以上に気に掛けていて…

あの人にとってポケモンとは『大切なコレクション』なんですよ
そのポケモンに必要な運動や栄養バランスを考えていつも工夫してたし
色違いのトリミアンのカットも自分で勉強してやってみたり…
私とはポケモンに対しての考え方が違いすぎたんです

……

ある日隣町の公園で 少女と龍は怪しげな集団を目にした
背の高い一人の男が静かに だが不思議なまでによく届く声で繰り返し主張する
今の社会はおかしい、人間からポケモンを解放するべきだと…

オリビアはその男の類まれなる才能を目の当たりにした
通行人は吸い寄せられるかのように彼のもとへ集まり
十人もいなかった聴衆はいつしか百人を超える数となっていた

「…見てくださいフカマル…まるでみんな暗示にかかったように
 あの男の言葉を聞き漏らすまいと耳を傾けている…
 プラズマ団ですか…彼らなら今のイッシュを変えることができるのかもしれませんね
 もっとも あの男が本当は何を企んでいるのか私にはわかりませんけど」

その場を立ち去ろうとしたときオリビアは弁舌を振るっている男と目が合った
「……。」
少女はその男の眼の中に渦巻く黒い感情を垣間見てしまった気がした
メンテ
Re: 【Pocket Monsters Dark gray】完結 ( No.203 )
日時: 2015/03/31 21:31:30
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:v/wch2fE

05
「かつてのイッシュにあった寂れた教え…
 すべての命はもともと一つであり どんな人もポケモンも平等である
 ハルモニアの教えこそ今のイッシュに必要なものなんですよ
 行きましょう ハルモニア教をあのペテン師から奪い返しに」

一人の少女と一匹のガバイトは教会に向かって歩いて行った

……

声が聞こえる…
私の名を大切な人が必死に呼ぶ声…

(オリビア… オリビア…! 大丈夫か)

「あ…れ もしかして私 気を失ってました…?」
目を覚ました途端 お湯の中に浸かっているような感覚に襲われた

呼吸は乱れているし 汗を大量にかいている
顔と背中が焼けるように熱い そして…
龍の血を塗ったことで背中の傷はほとんど治っていた

「流石ですね…ガブリアス…
 もう皮膚が再生して 跡が目立たないまでになってます」

背中の痛みがなくなった…
竜螺旋の夜はもう終わったんです

ここから先は私とガブリアスが頑張らなくては
ハルモニアの教えを世界に広めるために…

オリビアは力なく目を閉じて 荒い呼吸のまま龍にもたれかかった
「少し…疲れちゃいました…」

月明かりに照らされた薄暗い寝室には
安心した表情ですやすやと眠る少女と その状況に戸惑っている一匹の龍の姿があった






〜若草の龍 完〜

注釈)

若草の――枕詞の一つ 若草が柔らかく愛すべきものであることから
つま(夫・妻) 妹 思ひつきし などにかかる

龍の血――ドラゴンタイプのポケモンの血液は強い生命力を帯びており
細胞を活性化させる効果を利用し 傷の治療や皮膚、筋肉、臓器の再生などが可能である
かつて怪我を治す万能薬として重宝されていたが発熱・動悸などの副作用を起こしやすいため
基本的に現在の医療で用いられることはない
メンテ
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