はじまりのうみ、おわりのだいち
日時: 2015/02/06 00:47:37
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:lH7SzB8I

はじめまして、ヨルと申します。
小説ともいえないものを細々と書いているしがないものかきです。
ポケモンというジャンルに久々に復活しました。
こちらの掲示板で投稿させていただくのは初めてです。
至らないところも多々あると存じますが、よろしくお願いします。


今回はリメイク記念といたしまして、ホウエン地方(ORAS版)を舞台に小説を書くことにしました。
RSのリアルタイムプレイヤーとしては嬉しいやら悲しいやらですが……笑

主人公以外の登場人物についてはゲーム本編に依拠しています。
ストーリーの進行によってキャラ募集などもさせていただく予定ですので、ご協力いただければ幸いです。


>>1-2 舞台設定
>>3  主人公について
>>6  デフォルト主人公について


Prologue: At the Lake Acuity(エイチ湖にて)
1. afternoon >>4-5
2. evening >>8-9
3. dead of night >>10-12
4. before dawn >>13


ジムリーダー等の設定についてはストーリー中でおいおい述べたいと思います。
出そろったらまとめるかもしれません。

コメント・感想等もお待ちしています。
メンテ
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Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.1 )
日時: 2015/02/06 02:50:46
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:lH7SzB8I

舞台設定


◎ホウエン地方
ORAS設定。既出のすべての地方(カントー、ジョウト、シンオウ、イッシュ、カロス)との交流があり、海の便・空の便で行き来が可能である。


◎ポケモン
すべて生身の肉体を持ち、寿命だけでなく病気や怪我などで亡くなることがある。
レベルアップ、遺伝で覚えた技はすべて使用可能。
技マシンや技教えなどで覚えた技も、最大4つまで使用できる。
秘伝技については、フィールド上でのみレベルアップ技と同様の扱いになる。


◎ポケモントレーナー
ポケモンを戦闘で使用することが認められている「ポケモントレーナー資格」の取得者。
トレーナーカード(いわゆる免許証)の携帯が義務付けられており、カードは5年ごとに更新が必要。
なお、トレーナー資格は全地方共通のため、どの地方でも取得可能である。


◎施設
・ポケモンセンター
ほぼすべての街に存在するポケモンの回復施設。
回復は基本的に無料だが、あまりに状態が悪いポケモン(瀕死や猛毒などの状態異常)は別途料金が必要。
設置してあるパソコンで、ポケモン預かりシステムや道具預かりシステムが利用できる。
地域ごとに規模の差はあるものの、ほとんどのポケモンセンターが宿泊施設も兼ねている。
ごく一部ではあるが、病院を兼ねているポケモンセンターもある。

・フレンドリィショップ
旅やバトルの際に必要な道具を購入することができる施設。
ポケモンセンターがある街には必ず存在し、地方によってはセンター内に併設してある。
所有バッジが増えると購入できる品物が増える。たまにセールもやっている。
特定の街だけで購入できる品物が販売されていることもある。

・トレーナーズスクール
各地方に必ず1つあるエリートトレーナー養成機関。ちなみに、ホウエンではカナズミシティにある。
内容によって「入門」「初級」「中級」「上級」(地方によって呼び方が異なる)の4つのコースがある。
さらに中級以降は「育成」「バトル」「コンテスト」の3分野に分かれて高度な専門知識を学ぶ。
ジムリーダーや四天王となるには、各地方のスクールで「上級・バトル」コースを修了することが必須条件である。

・ポケモンジム
各地方に必ず8つ以上存在する、ポケモンの強さを競うための施設。
1〜3人のジムリーダーと、8名以下のジムトレーナーで構成されている。
ジムリーダーに勝利すると、そのジムのシンボルである「ジムバッジ」が授与される。
副業として兼務するジムリーダーが多いので、ジムが職場や私邸と兼用になっていることもある。
また、トレーナーズスクールに通わない若きトレーナーたちの学びの場としても機能している。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.2 )
日時: 2015/02/06 06:51:13
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:lH7SzB8I

◎組織
・ポケモン協会
ありとあらゆるポケモンに関する組織の中のトップ。
本部はイッシュ地方ヒウンシティにあり、各地方の中心都市(ホウエンではキンセツシティ)に支部が置かれている。
以下に述べる3つの組織以外にもさまざまな組織を傘下に抱えている。

・ジムリーダー協会
ポケモン協会の傘下組織で、ジムに関する諸々の業務を統括している。
本部はカロス地方ミアレシティにあり、各地方(ホウエンではミナモシティ)に支部が置かれている。
すべてのジムリーダーは就任と同時にここに所属することが義務付けられている。

・トレーナー協会
ポケモン協会の傘下組織で、ポケモントレーナーに関する諸々の業務を統括している。
本部はジョウト地方コガネシティで、各地方(ホウエンではカナズミシティ)に支部が置かれている。
トレーナーはすべて、資格を取得した地方のトレーナー協会に所属することが義務付けられている。

・コンテスト協会
ポケモン協会の傘下組織で、ポケモンコンテストに関する諸々の業務を統括している。
本部はホウエン地方ミナモシティ。シンオウ地方ヨスガシティにシンオウ支部がある。


◎ポケモンリーグ
ジムバッジを全て揃えたトレーナーだけが挑むことが出来る。
各地のリーグを束ねる本部はカントー地方セキエイ高原。
各リーグは「四天王」と「チャンピオン」の5名からなり、地方ごとに特色がある。
ジョウト地方にはリーグが存在しないが、ジムバッジを全て揃えるとカント―ポケモンリーグに挑戦可能。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.3 )
日時: 2015/02/08 02:36:45
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:nPGz.EYk

主人公

◎レイ
17歳。出身地は「ホウエンのどこか(本人談)」。
現在はシンオウの北端、エイチ湖のほとりに住み、ポケモンたちと気ままに暮らしている。
身長は160cmほどで、アッシュグレーのロングヘアにオリーブ色の瞳が特徴。
ひょうひょうとしてつかみどころがないと言われるが、ポケモンには惜しみなく愛情を注いでいる。
一人称は「わたし」。他人を呼ぶときは呼び捨てにせず、敬称を付ける癖がある。
趣味は料理と散歩と風呂。特技はポケモンの毛づくろい。


◎手持ち
ミィくん(ラグラージ♂)わんぱくな性格。レイの最初のパートナーで、よく食べよく眠るいたずらっ子。
サナちゃん(サーナイト♀)ひかえめな性格。レイとの付き合いは2番目に長い。とても優しいお母さん的存在。
サムくん(ハッサム♂)いじっぱりな性格。トレーニングを欠かさないストイックな努力家。実はツンデレ。
ふうくん(フライゴン♂)いじっぱりな性格。捨てられた経験から、一時は人間不信に。しっかり者の良い子。
チィちゃん(ランターン♀)おっとりな性格。無類の風呂好き。マイペースで末っ子気質の甘えん坊。
ロゼちゃん(ロズレイド♀)ひかえめな性格。いろいろ遺伝技を使えるチートっ子。サーナイトと仲良し。

◎控え
めーちゃん(オオスバメ♀)むじゃきな性格。スピード狂の伝書鳩ならぬ伝書ツバメ。
ジジくん(ジュペッタ♂)ようきな性格。手癖は悪いが隠密役として至る所で活躍する。
くうちゃん(クチート♀)ゆうかんな性格。怖いもの知らずだがイケメンにはかなり弱い。
まーくん(マッスグマ♂)せっかちな性格。たまに放しておくといろいろと拾ってくる。
ららちゃん(ラプラス♀)のんきな性格。とても優しいが、レイ以外を背中に乗せるのは嫌がる。
トム(ロトム)おくびょうな性格。ずっと箱の中に閉じ込められていたので、暗いところが苦手。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.4 )
日時: 2015/02/17 00:06:18
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:fva75bQ2

Prologue:at the LAke Acuity(エイチ湖にて)
1.afternoon


ここは、シンオウ地方の北端に位置するエイチ湖。
一年を通して寒さの厳しいこの地で、ひっそりと暮らす一人の少女がいた。


「―――さっむ」


彼女の名前は、レイ。


扉を開けるなり彼女は顔をしかめ、ネックウォーマーを口元まで引き上げた。
見上げた空は灰色の雲が厚く垂れ込めていて、空気は痛いほど冷たい。
今すぐ家の中に駆け戻りたくなったが、吹雪が来る前にどうしてもやらなければならないことがあった。

湖畔に建つ高床式のこぢんまりとしたログハウスが、彼女の小さな城だ。
極寒の地に適した頑健な造りと、シンオウの厳しい冬を乗り切るための最新鋭の設備を併せ持っている。
テラスから下へ続く階段を降りると、ラグラージとハッサムがぎゃあぎゃあ騒ぎながら薪割りをしていた。

「何してんの、ふたりとも」

呆れながら尋ねたところ、どちらがたくさん薪を割れるか勝負していたらしい。2匹の周りには山のように薪が積みあがっていた。
わんぱくで負けず嫌いのラグラージと、いじっぱりで厳格なハッサム。レイには不得手な力仕事を買って出てくれる2匹の存在はとてもありがたい。
確かに、これから数日は吹雪が続くから少し多めに欲しいかも、と言ったのは自分だが、さすがにこの量は家の中に入りきらない。
限度ってものがあるだろう、と知らず知らずのうちにため息が漏れる。
(……競い合ってもらうのも悪くはないんだけど)

「ミィくん、サムくん、そのくらいでいいよ」

まだ薪割りを続けている2匹に声をかけた。薪を運ぶように言うと、すぐに手を止めて作業を始めたが、気づくとまた何やら競っているようだ。
騒ぐ姿も兄弟のようでほほえましい。賑やかではあるが、作業効率は上がっているようだからよしとしよう。

「喧嘩するほど何とやら、かしら」

レイは苦笑いしながらログハウスの裏手に回った。
発電機や温水器のメーターをチェックしたり、ポリタンクに灯油を足したりしているうちにますます空気は冷たくなってきた。
外での用事は済ませたものの、一つだけ気がかりがあった。
今朝、トバリまで使いにやったフライゴンがまだ帰ってきていなかった。
まとめ買いを頼んでいたので、荷物が多くて難儀しているのだろうか。それとも、道中で何か―――。
よからぬ想像が頭を過り、ぞわりと悪寒が走った。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.5 )
日時: 2015/02/17 00:14:49
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:fva75bQ2

考えれば考えるほど不安になってしまう。縋るように戻ってくる方向を眺めていると、突然頭上から大きな羽音が聞こえた。
慌てて見上げると、そこでは荷物を器用に抱えた緑色の龍が羽ばたいていた。
「ふうくん!」
名を呼ぶと、ひと鳴きしてすっと舞い降りてきた。駆け寄ってその身体を抱きしめる。

「よかった!遅いから心配してたの」

大丈夫といいたげに彼は顔をすり寄せてきた。身体には傷一つないし荷物も無事だ。
ただひとつ、首から赤いマフラーが消えている。出発するときに寒いだろうと巻いてやったレイのマフラーだ。

「あら、マフラーは?なくしたの?」

フライゴンに尋ねると、ぶんぶんと首を横に振った。そして身振り手振りで何かを伝えようとする。
彼によると、帰りの道中で寒そうにしていた人がいたので、マフラーをあげたそうだ。
最初は怯えられてしまったらしく、あれこれと苦心しているうちに遅くなったという。
レイはなんだあ、と笑った。なんてこの子らしい理由だろう。心優しくて、困っている人やポケモンを見たら放っておけない性分なのだ。
マフラーはもう戻ってはこないだろうが、困っている人のためになるなら構わない。
「いいことしたのね」と頭を撫でたらちょっぴり得意そうな顔をした。
フライゴンを連れて温かい家の中に足を踏み入れると、中にいたポケモンたちが迎え入れてくれた。
ずっと外にいた自分を気遣ってか、サーナイトとロズレイドが温かい飲み物を手渡してくれる。

「ありがと、サナちゃん、ロゼちゃん」

マグカップを口元に近づけると甘い香りがする。ロズレイドが調合してくれたハーブティーだろう。
一口飲むとハーブのやさしい味がしみわたり、身体の芯からじわりと温まっていく。
おいしい、とつぶやいたら、横のロズレイドがほっとした様子で微笑んだ。レイも微笑み返し、ハーブティーをゆっくりと飲み干す。

「晩御飯にしようか。今日はシチューね」

ポケモンたちから歓声が上がる。ふと見た窓の向こうで、ひらりと白いものが舞い始めていた。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.6 )
日時: 2015/02/17 00:16:11
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:fva75bQ2

◎デフォルト主人公(ユウキ・ハルカ)

ユウキ(12)
出身はジョウト地方アサギシティ。性格は元気いっぱいで裏表がなく、素直。
トウカシティジムリーダー、センリの息子で、バトルセンスは父譲り。ジョウトのキッズリーグで優勝した経験もある。
ホウエンリーグに挑戦するため、各地のジムバッジを集めながら一からポケモンを鍛えようと旅に出る。
最初のパートナーはアチャモ。

ハルカ(12)
出身はホウエン地方ミシロタウン。心優しく天真爛漫な性格で、しっかり者。
オダマキ博士の娘で、ポケモンに関する知識がとても豊富。バトル以外の知識はからっきしのユウキにいろいろと教えてあげることも。
ポケモンの生息について研究する父の手伝いのため、フィールドワークを兼ねて旅に出る。
最初のパートナーはキモリ。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.7 )
日時: 2015/02/17 18:38:44
名前: ぶんぶんまる ID:Qc/2c.o6

続き待ってます!
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.8 )
日時: 2015/02/19 04:05:50
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:V9X99W5I

Prologue:2.evening

夕食を終えるころには、外はすっかりひどい吹雪になっていた。
窓ガラスがガタガタと音を立てる中、寝室の石油ストーブに灯油を足し、スイッチを入れた。
ボッ、と小気味よい音を立てて橙の炎が燃え上がるのが好きだ。煌々ときらめく光は、停電のときも照明として役に立つ。

リビングに戻ると、ポケモンたちが思い思いに時間を過ごしていた。
ラグラージはすでにリビングの床でぐっすり眠っているし、フライゴンも薪ストーブの傍でうとうとしている。
ハッサムは部屋の隅でトレーニングに勤しみ、ランターンは窓の外を眺めて楽しそうに飛び跳ねていた。
サーナイトとロズレイドは薪ストーブの近くに腰掛け、何か話し込んでいるようだ。
レイもカウチに腰掛け、テレビをつけた。
チャンネルをザッピングしながらニュースをチェックする。全国各地のニュースが飛び込んでくるが、やはり多くはシンオウのものだ。


『男は昨夜、ノモセ大湿原の特別保護区でポケモンの無断捕獲をしたとして―――』

『―――ボンコーポレーションとポケッチカンパニーが事業提携を発表しました。……』

『キッサキシティでは、すでに積雪が2メートルを越えています!今夜は強い吹雪に注意が―――』

『―――で、自然保護団体による講演会が行われ、700人を超える人々が参加しました。……』

『これまで謎とされてきたロトムの生態について、コトブキ大学を中心とする研究チームが一部を明らかにしました。今回は……』


無難なドキュメンタリーでチャンネルを止めた。
ロトムの生態がテーマらしく、リーダーらしき初老の男性が、スタジオの中央で女性アナウンサーと対面していた。
そういえば、ここに越してきたときも、箱入りのロトムがいたなあと思い出した。
文字通り段ボール箱に詰められていて、開けた瞬間飛び出してきたのだ。あまりにも長い間閉じ込められていたせいで、暗闇が苦手らしい。

「あの時、トムくん半泣きだったよな……」

その時の様子がふと思い出され、レイは苦笑いする。
ひょっとしなくても、彼(便宜上そう呼んでいる)の生態も調査したらよかったんじゃないだろうか。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.9 )
日時: 2015/02/19 04:08:48
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:V9X99W5I

番組は1時間で終わった。ストーブの火が少し小さくなっていたので、薪を足そうと立ち上がる。
すると、窓際にいたランターンがぴょこぴょこと寄ってきて、服の裾を引いてどこかへ連れて行こうとした。

「どうしたの、チィちゃん」

なんだか楽しそうにぐいぐいと引っ張っていく方向は、浴室。
―――ああ、お風呂か。
納得して、そのまるい頭を撫でた。彼女は大の風呂好きなのだ。

浴槽は木製で、レイが両手両足を伸ばしてもなお余る大きなものである。
ここに住むとき半ば無理を言って設置したものだが、厳しすぎる冬を乗り切るには欠かせない。
身体を洗い、少し熱めのお湯に肩までゆっくりと浸かる。両足を伸ばすと、冷えた身体がじんわりほぐれていった。

「ああー……いいお湯……」

深く嘆息しながらつぶやく。向かい側ではランターンがうっとりと目を閉じて浮かんでいた。


ここで過ごす冬も気づけば3度目になる。
レイはふと、リビングでそれぞれの時間を過ごしているだろうパートナーたちを思い浮かべた。
彼らは皆、チャンピオンになる前からの長い付き合いのポケモンばかりだ。


ラグラージの腕白っぷりは昔から変わらない。けれど背は追い抜かれ、力勝負なんてどうやったって勝てなくなった。

容赦ない戦いぶりでエースの座を張るサーナイトも、かつてはその優しすぎる性格のせいで、ここ一番というところで弱かった。

ハッサムは無茶ばかりしていたけれど、あるとき生死の境を彷徨う大怪我をして、それ以来、僅かだが自分を労れるようになった。

捨てられた経験のあるフライゴンは「超」問題児だった。愛情を伝え続けてようやく心を開いてくれたとき、柄にもなく大泣きしたものだ。

昔は手が付けられないほど甘ったれで泣き虫だったランターンも、今では何が相手でも臆せず立ち向かっていける。

ロゼリアはロズレイドに進化した。控えめなのにわがままだった彼女も、すっかりお姉さんキャラが板についてきた。


彼らとの自由気ままな暮らしを捨てる気はさらさらない。
ただ、それでも日々の生活にノイズが入りつつあることは気づいていた。
外部からではなく、自分の内側から発信される「何か」だ。
その正体はわかっている。だけど、認めたくなくてずっと目を瞑ってきた。
今までも、そしてこれからもそうなのだろう。

レイはゆっくりと湯船に沈んだ。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.10 )
日時: 2015/02/22 15:31:03
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:F9X592t6

Prologue:3. dead of night


ずいぶんと長湯をしてしまい、半ばのぼせそうになったところで風呂から上がった。
さすがにランターンをずっと風呂場に置いておけないので、ボールにしまう。

「おやすみ、チィちゃん」

ランターンはにこりと笑って頷き、目を閉じた。


パジャマの上に厚手のカーディガンを羽織ってリビングに戻る。
部屋中に響くラグラージの大いびきをものともせず、フライゴンはぐっすり眠っていた。
だが、サーナイトとロズレイドは耐えかねて寝室に向かったらしく、姿は見えない。
ハッサムは玄関の扉の横で壁にもたれて眠りに就いていた。彼に言わせると癖のようなものらしい。
吹雪の音はますます激しくなっていた。明日の朝は総出で雪おろしだろう。
玄関が埋もれてなかったらいいけど。そんなことを思いながら薪ストーブに多めに薪をくべた。

「もうこんな時間か……」

壁にかけた時計は11時を指そうとしている。レイが大あくびをして寝室に足を向けた。


そのとき、ラグラージのいびきがぴたりと止まった。
レイは驚いて振り向く。飛び起きたラグラージは低い声で唸り始めた。
ハッサムとフライゴンもぱちりと目を開けた。
ハッサムは威嚇するように鋏を鳴らし、フライゴンは険しい顔で扉を睨みつけている。

「―――ど、どうしたの?」

突然の3匹の行動に、レイも慌てて駆け寄る。

その途端、ドン!と音を立てて扉が揺れた。
反射的に身体が震え、彼らの唸り声はますます大きくなる。

―――何か、いる。

背筋にぞくりと悪寒が走り、暖められていた身体から血の気が引くのを感じた。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.11 )
日時: 2015/02/22 15:31:32
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:F9X592t6

サーナイトとロズレイドが寝室から飛び出してきて、レイの手に縋りついた。
サーナイトがレイの怯えを感じ取ったのか、小さく震えている。
ユキノオーたちは警戒心が強く、人里に近寄らないと聞いてはいるが、荒天に耐えかねて降りてきたのかもしれない。
もしくは、群れからはぐれたイノムーか、ユキワラシか……。

再び、先ほどよりも強い力で扉が叩かれた。
意を決して扉に近づき、おそるおそるドアスコープをのぞいてみたが、何も見えない。
だが、ポケモンたちはひっきりなしに吠えたてている。
どうしよう、と扉の前で立ちすくんだ。その時だ。


「―――――――――――」


微かに声が聞こえた気がした。

「……え?」

ドアに耳を押し付ける。
今度ははっきりと「助けてくれ」と聞こえた。
先ほどとは違う意味でぞっとして、「誰かいるんですか?!」と思わず叫んだ。

こんな猛吹雪の中を出歩くなど自殺行為でしかない。レイは迷う間もなく扉を開けた。
外開きの扉が風に呷られて勢いよく開き、身体を切り裂かんばかりに冷え切った空気と大粒の雪がどっと吹き込んでくる。
同時に真っ白な塊が突っ込んできた。

「きゃっ!!」

悲鳴を上げたレイの前にハッサムが躍り出て、その塊を受け止めた。衝撃で大量の雪が床に落ちる。

「サムくん、大丈夫?」

ハッサムは頷き、その塊を床におろした。人の形をしたその塊はぴくりとも動かない。体格から察するに男性のようだ。
雪を払いのけて現れたのは、やはり端正な男の横顔。
だが、頬は氷のように冷えきり、死人のように青白い。身体は震えてすらいなかった。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.12 )
日時: 2015/02/22 15:35:41
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:F9X592t6

急いで身体を暖めなければ。
風呂場まで引きずっていくことも考えたが、いくら人助けとはいえ、見知らぬ男性を全裸にするには抵抗がある。

「仕方ないか……」

まずは凍りついたコートを引っぺがした。
下には仕立ての良い上等そうなスーツとシャツを着ていたが、それも取っ払った。
放り投げたスーツが重そうな音を立てた。見ると、内側にモンスターボールが並んでいる。

(このひと、トレーナーなのね)

ポケモンを出さなかったということは、この吹雪に耐えうるポケモンを持っていなかったということだろうか。
中身を確認する余裕もないので、そのままにしておいた。
ボールから出したときに、主人に危害を加えていると勘違いして襲われてはたまらない。

「ミィくん、この人をストーブの前に寝かせてくれる?
サムくんとふうくんは寝室に行って、あるだけ毛布を持ってきて!」

そう告げて、レイもサーナイトを連れて浴室へ走った。熱めのお湯をバケツに汲み、そこにタオルを放り込む。
リビングに駆け戻ると既にハッサムとフライゴンが毛布を持って戻ってきていた。
男は先ほどと変わらず、ぐったりと床に横たわっている。
カウチに乾いたバスタオルと毛布を引き、男をその上に寝かせた。

「サナちゃん、タオルを絞ってこの人の手足を温めてほしいの。
爪先とか指先は、すぐに凍傷になってしまうから。
ロゼちゃんには、いつもみたいに薬の調合をお願いするわ。
―――さあ、ミィくん、サムくん、ふうくん、ここからが正念場よ」

ポケモンたちは力強くうなずいた。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.13 )
日時: 2015/02/23 04:42:27
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:YAmryfZY

Prologue:4. before dawn

レイとポケモンたちの早急な処置によって、最悪の事態は免れた。
死人のようだった顔には赤みが差し、紫色だった唇にも血の気が戻ってきた。
規則正しい寝息が聞こえ始め、レイは胸を撫で下ろした。

「サナちゃん、悪いけど、この人の様子を見ててくれる?」

サーナイトを仰ぎ見る。彼女は深くうなずき、主の隣に跪いた。
レイが立ち上がってキッチンに向かった後、サーナイトはそっと男の手を取った。

(……あなたは)

男を見下ろす赤い目が、すっと細められた。

(わたしは、この手を知っている)


すっかり湯冷めしてしまった身体を暖めるため、レイはキッチンでホットワインを作っていた。
赤ワインを火にかけ、オレンジの輪切りとシナモンパウダー、蜂蜜を放り込むだけの簡単なものだ。
男が目を覚ましたら薬を混ぜて飲ませようと少し多めに作り、自分の分を耐熱グラスに注ぐ。
ほどよい温さのホットワインを一息に飲むと、先ほどまでのせわしない心持ちが少し落ち着いた。

レイはリビングに戻り、床に放り投げたままのスーツの上着を拾い上げた。
氷はすでに解け、床には大きな水溜りができている。
気付いたハッサムが雑巾で拭いてくれた。なんてよくできた男だろう。

「サムくん……あなた、いい主夫になれるわ」

レイが呟く。ハッサムは得意そうな顔で雑巾を片付けに洗面所へ向かっていった。

上着をハンガーにかけながら、どんなポケモンをつれているのか興味が沸いた。
ボールの中を覗き込むと、目に飛び込んできたのはエアームドだった。
その隣にネンドール、アーマルド、ユレイドル、ボスゴドラと続き、最後にメタグロス。

既視感を覚えて、レイは男のほうを振り向いた。
男の手を握ったままのサーナイトが、小さくうなずいた。

(―――あなたは間違っていないわ)

「……なんで?」

レイは愕然とした。見開いた瞳が大きく揺れる。

「なんで、あなたが……」

サーナイトはそっと目を伏せた。
彼だと知った主が、こうなることはわかっていた。
時間の問題だとしても、できるなら気付かないほうがよかった。
主を守る方法はいくらでもある。どうにでもできる。
―――けれど。
(来てしまったのよ、その時が)

「ダイゴさん……」

ふるえる唇から零れ落ちた名前が、空気を静かに乱した。
メンテ
Re: はじまりのうみ、おわりのだいち ( No.14 )
日時: 2015/02/23 04:43:01
名前: ヨル◆PUy5zGVQLPc ID:YAmryfZY

確保
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