努力値の振り方 (応用編)

より実戦的で無駄のない努力値の振り方について考察します。

ギャー

間違った努力値の振り方

①とりあえず全ての能力に均等に振る。
②ポケモンごとの、優れた種族値に全振り。


どのポケモンにも大抵、長所もあれば短所もあります。しかし①のように努力値を振ってしまうと、長所を伸ばすことも短所を補うことも中途半端になり強いポケモンにはなりません。


そこで②の振り方です。努力値の基本はやはり優れた能力をさらに伸ばすことなので、この振り方は完全に間違っているという訳ではなく、初めのうちは難しいのでこれでも十分強いポケモンは作れます。


しかし、ステータスと個体値と努力値の関係や持つアイテムによっては、②の振り方だと損をすることがよくあります。いくつか例を見て、より最適な努力値の振り方を考察していきます。

アタッカーの確定数

アタッカーにとって、攻撃や特攻といった能力に努力値を振ることは重要です。しかし、そのポケモンが倒さなければいけないポケモン (仮想敵) によっては、必ずしもその能力に全振りすればよい訳ではないことがあります。(特に二刀流アタッカーの場合)

【仮想敵がはっきり決まっていない場合】

この場合は簡単で、素早さ or HPに全振りした後に、攻撃系 (攻撃 or 特攻) に全振りです。火力を最大まで上げておくことで、できるだけ広い範囲のポケモンに対応できるようにしておくのがよいです。

【仮想敵が決まっている場合】

「このポケモンで○○を倒したい」というポケモンが存在する場合です。
このときはどのように努力値を振ったらよいのでしょうか。
以下、アブソルとエアームドを例に考えて見ます。

【例 アブソルの「だいもんじ」で、受けにきたエアームドを倒したい】

ここで、アブソルはエアームドを倒したいので、特攻に全振りしたとします。アブソルのメインウェポンは物理技であるため、性格は物理アタッカーに一般的ないじっぱり or ようき (どちらも特攻↓) とします。エアームドは物理受けとして使用されることが多いため、HP・防御全振りで特防には振られていないとします。


上記のようき特攻全振りアブソルの特殊サブウェポン「だいもんじ」によるHP全振りエアームドへのダメージは、66.2~79 % 確2です。(個体値は全てVを仮定)


しかし、アブソルは攻撃に大きく秀でたポケモンです (攻撃種族値130) 。上記のような「だいもんじ」や他の特殊技をメインウェポンにすることも考えられますが、本当なら攻撃+素早さ (or HP) に全振りしたいところです。では、本当に特攻に努力値は必要なのでしょうか。


そこで、ようき特攻無振りアブソルの「だいもんじ」によるHP全振りエアームドへのダメージを計算してみると、50~59.3 % 確2です。(個体値は全てVを仮定)


つまり、このアブソルの「だいもんじ」でエアームドを倒すには、特攻に努力値を振ったところで確定数は変わらず、意味がないということが分かります。


このように仮想敵がはっきりしている場合は、その仮想敵を無振りでも倒せるなら努力値をわざわざ振るのもったいないですし、無振りで倒せなかったとしても必ずしも全振りすれば確定数が変わる訳ではありません。できるだけ努力値を無駄にしないように、仮想敵をぎりぎり確定○発で倒せるように努力値を調整しておくのがポイントです。

ヤダー****シネー

耐久力の最大化

ポケモンの耐久力を上げたいとき、努力値をHPに振る場合と、防御系 (防御 or 特防) に振る場合があります。HPに振れば防御・特防の両方の耐久を同時に上げることもできますし、防御系 (防御 or 特防) に特化して振ることもできます。また、HPの種族値があまりにも高いポケモンの場合 (ハピナス、ホエルオーなど) は、HPには振らずに防御・特防に分けて振った方が両方とも堅くなることもあります。


そのポケモンの種族値構成や、物理耐久特化にしたいのか、特殊耐久特化にしたいのか、それとも両方ともできる限り上げたいのか、などで努力値の振り方は変わってきます。


ポケモンの耐久力は、

  • 物理耐久力=HP実値×防御実値
  • 特殊耐久力=HP実値×特防実値

で表わされます。ポケモンの耐久力を上げるには、上の積の値がなるべく大きくなるように努力値を振ればよいです。


実際に努力値を振るときは、HPと防御or特防にいくつ努力値を振れば耐久力が最大になるかということを自分で計算して求めてもよいですが (下のポケモン数学参照) 、面倒なのでおよその目安て努力値を配分し、 ダメージ計算機 などにそれを実際に代入して、仮想敵ポケモンの技によるダメージの割合 (%) が最小になるような配分を求めていった方がラクです。

【参考 ポケモン数学】

「HP実値×防御 (特防) 実値」がポケモンの耐久力を表す理由についてです。
ポケモンにおいて「ステータス」と「ダメージ」は以下の計算式により決まります。

  • ステータス計算式
    能力値=[(種族値×2+個体値+努力値÷4) ×レベル÷100+A]×性格補正
            (少数点以下切り捨て。HPではA=10+レベル、その他能力ではA=5)
  • ダメージ計算式
    ダメージ=[(相手のレベル×2÷5+2) ×技の威力
           ×相手の攻撃 (特攻) 実値÷こちらの防御 (特防) 実値÷50+2]× (0.85~1)

            (最後の「0.85~1」の部分は乱数による効果を表します)
    ※実際のダメージはこれにタイプ相性などによる補正がかかります。

ここで、同じポケモンに同じ技で攻撃されたときを考えます。すなわち、上のダメージ計算式で「相手のレベル」「技の威力」「相手の攻撃 (特攻) 実値」を定数と考えます。
すると、乱数の効果を無視したときに受けるダメージは、


  ダメージ=[(相手のレベル×2÷5+2) ×技の威力
         ×相手の攻撃 (特攻) 実値÷こちらの防御 (特防) 実値÷50+2]
        =C÷こちらの防御 (特防) 実値+2
  (Cは定数)


となります。
このとき、こちらのポケモンが受けるダメージの、最大HP (HP実値) に対する割合 (%) は、


  ダメージの割合=ダメージ÷HP実値×100
            =C´÷ (HP実値×防御 (特防) 実値) +200÷HP実値
  (C´=100×C)
            ≒C´÷ (HP実値×防御 (特防) 実値)


となります。右辺第2項は微小 (ダメージ実値にして1か2程度) なので無視しました。


これより、相手の同じポケモンに同じ技を使われたときでも、「HP実値×防御 (特防) 実値」の値が大きくなるほど、「ダメージの割合」は小さくなることが分かります。「ダメージの割合」が最少になるのは、「HP実値×防御 (特防) 実値」の値が最大になるときです。
よって、「HP実値×防御 (特防) 実値」の値を耐久力と見なせば、そのポケモンの耐久力を数値化して比較することができます。(無視した微小項による誤差はありますが)


ちなみに、「HP実値×防御 (特防) 実値」に上のステータス計算式を代入して、「合計努力値は510」「1つの能力に努力値は最大255まで振れる」という束縛条件の下で解けば、「HP実値×防御 (特防) 実値」が最大となる「HP努力値」と「防御 (特防) 努力値」の配分が計算的に求められます。(より正確に求めるには微小項まで含めて計算する必要があります)
ダメージ計算機に具体値を代入して求めていった方がラクです☆

素早さ調整

ポケモンバトルにおいて先手を取れるかどうかということは最も重要な要素とも言えます。攻撃が1違った程度では確定数に影響を与えることはほとんどありませんが、素早さが1違えば先行・後攻に影響を与える場合が多々あります。個体値厳選時に、素早さVが出さえすれば他の能力はそこまでこだわらないという人もいるくらいです。


しかし、素早さが重要だからと言って素早さに努力値全振りすれば当然速くはなりますが、それでは努力値を無駄にしてしまっていることも多いです。そこで仮想敵に合わせて素早さを調整することが重要になります。

【例 雨パマンタインで最速130族を抜きたい】

雨パにおいて、マンタインが特性「すいすい」(天気が雨のとき素早さが2倍になる) を発動させたとき、最速130族 (種族値130、性格素早さ↑補正、努力値252振りのポケモン) を抜けるようにしたいとします。


ここで、上でも出てきましたがステータス (能力値) は次の計算式で決定されます。


  能力値=[(種族値×2+個体値+努力値÷4) ×レベル÷100+A]×性格補正
         (少数点以下切り捨て。HPではA=10+レベル、その他能力ではA=5)


この計算式によると、レベル50戦だと、最速130族の素早さは、
  [(130×2+31+252÷4) ×50÷100+5]×1.1=200.2
よって能力値にして200です。
では、素早さ種族値70のマンタインが特性「すいすい」発動時、これを抜くにはどうすればよいのでしょうか。


マンタインの素早さの個体値が31、性格が素早さ無補正だとすると、努力値を252振ったときの素早さは、
   (70×2+31+252÷4) ×50÷100+5=122
となるので、「すいすい」発動時は2倍の244です。よって最速130族を余裕で抜けます。


しかし、最速130族を抜くことが目的なら、これでは余裕過ぎます。「すいすい」発動時に素早さが最低201以上、すなわち平常時に素早さ101以上あれば問題ない訳ですから、この場合素早さに努力値を84だけ振れば済みます。素早さに努力値を84だけ振ると、
   (70×2+31+84÷4) ×50÷100+5=101
となってちょうど101となり、「すいすい」発動時に最速130族を無駄なく抜けます。このようにすれば、残りの努力値を他の能力に回すことができるためオトクです。もちろん実際は個体値は31とも限らないので、ポケモンにより正確な値を調べて調整が必要です。(参考 › 個体値判定)

仮想敵の努力値の流行 (主流な型) を把握する

アラ、イイ男♪ 長い目でみると努力値の振り方にも流行があるそうです。
どのアイテムを持たせるかにも流行があります。
もっと言えば、どのポケモンが使われるかにも流行があります。


例えば、「最速130族抜きはもう古い」とか、「ハピナスは最近防御特化が多い」とか。
流行と言っても皆にアンケートを取っている訳ではないのではっきりとは見えませんが・・・


ただ、「最近最速○○をよく見かけるようになったなぁ」とか、「最近、○○は見かけたらスカーフだ」とか感じたらそれは流行と言ってよいと思います。
そこまで流行り廃りが激しいものではないと思うので流行というかは微妙ですが、ポケモンバトルが日々進化していることの表れと言ってもよいと思います。


しかし、ポケモンバトルをする上でこの進化 (流行り?) をある程度は捉えておくことは重要です。
例えば、最近のメタグロス (素早さ種族値70) はHP振りが主流で、素早さに全振りしていることは少ないので、素早さ65族のブースターでも素早さに全振りすれば多くの場合メタグロスに先手を取って倒すことができます。でも、流行が変わって最速メタグロスが主流になったとき、ブースターではメタグロスに先手を取れなくなるので倒すことは困難になります。


これはほんの一例ですが、他のポケモンたちにも当てはまることだと思います。
自分のポケモンの仮想敵の努力値の振り方の流行りの変化には注意を払っておいた方が良いと思います。特に、お互いに弱点を突くことができるポケモン同士 (例 飛行VS格闘 格闘が先手なら「ストーンエッジ」で抜群が取れる) は、努力値の振り方で全てが左右される場合もあるので、対戦で当たったときなどにそのポケモンの「主流な型」が何なのか覚えておけば、多少有利に読みができるかもしれません。


半端に耐久があり半端に素早さがあるポケモンなど (とくに素早さ70~90族周辺) は、仮想敵が最速が多いのかそれともHP振りが多いのかによって素早さを調整するなどの工夫をする必要があると思います。

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